持続可能な社会の実現に向けて

日本曹達グループによる環境負荷低減への取り組み
環境

健全な資源循環の実現へ

日本曹達グループによる
環境負荷低減への取り組み

日本曹達グループは、気候変動や生物多様性などの環境問題を、国際社会が直面する重要課題の一つと捉えています。

この課題の解決に向けて社会や産業構造が大きく変化する中、当社グループは、化学とその関連サービスを通じて社会課題の解決に取り組むとともに、地域社会と協力し環境保全活動を推進しています。

当社グループは、開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄・リサイクルに至るまでのすべての過程において、自主的に環境・安全・健康を確保しながら事業活動を行う「レスポンシブル・ケア活動」を推進しています。

また、廃棄物の削減など、事業活動に伴う環境負荷を低減するほか、フロン破壊処理などの産業廃棄物の無害安全化技術、重金属除去技術、資源リサイクル技術、水処理技術などを活用したさまざまな製品・サービスの提供により、環境保全、循環型社会の形成に寄与するとともに、外部機関との連携により、環境負荷の少ない次世代エネルギーの早期社会実装に向けた研究開発にも取り組んでいます。

さらに、地域社会と協力し、CO2(二酸化炭素)を吸収する森林や水源保安林などの育成や、マツやサクラなどを害虫から守る持続可能な植物保護に取り組むことで、生物多様性の保全にも寄与しています。

今後も、事業活動による環境への影響を最小にするよう環境保全活動に取り組むとともに、新たな価値を化学の力で創造し、事業を継続的に発展させることで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

カーボンニュートラル達成に向けて

カーボンニュートラル達成に向けて

日本曹達グループは、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2022年4月にGHG(温室効果ガス)排出量削減WGを設置し組織横断で取り組んでおり、2030年度のGHG排出量を2013年度比で30%以上削減することを目指しています。2022年9月にはTCFD提言への賛同を表明し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って当社グループの取り組みを開示しました。また、一般社団法人日本経済団体連合会が取り組んでいる「カーボンニュートラル行動計画」に参加し、CO2排出量の削減や省エネルギーを推進しています。

具体的には、当社グループで最も電気を大量に使用する高岡工場(富山県)のカセイソーダ電解設備において使用する電力の非化石由来電力への切り替えや、再生可能エネルギーの活用を進めるほか、製造設備の省資源・省エネルギー機器への置き換えによるエネルギー原単位の改善を目指しています。また、物流改善プロジェクトにおいて、事業場内物流の見直しや動線の短縮化によるエネルギー使用量の削減を推進しています。

サプライチェーン全体での取り組みとしては、環境省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」などを参考に、自社の活動による温室効果ガス排出(スコープ1、スコープ2)に加え、自社の活動範囲外での間接的排出(スコープ3)を算定し、カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。

研究開発分野では、京都大学とともに、白金とタングステンの新規な固溶合金ナノ粒子による、高活性な水素発生電極触媒を開発しています。この固溶合金を用いた水の電気分解による水素発生反応(HER)では水素発生効率が劇的に向上しており、今後、HER触媒としての開発が加速し、水素製造触媒として社会実装されることにより、クリーン燃料である水素の効率的な生産が可能になるなど、安全でエコロジーな社会の実現に貢献できる可能性を秘めています。

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過電圧が加えられた白金―タングステン固溶合金ナノ粒子から、水素ガスが発生するイメージ図

企業グループとしては、静岡県浜松市にFSC森林認証(森林保全のために適切な管理体制が敷かれていると認定された森林)を取得した約56haの土地を所有するほか、創立100周年を機に、当社発祥の地である新潟県上越市の「上越市くわどり市民の森」内に「日本曹達グループの森」を設け、公益社団法人国土緑化推進機構への寄付を継続し、生物多様性のある森づくりと環境保全に貢献しています。

低リスク農薬や生物農薬の開発に注力

低リスク農薬や生物農薬の開発に注力

日本曹達グループは、化学農薬を中心にグローバル市場に向けた研究開発、拡販を推進していますが、近年では各国で環境意識の高まりとともに、生態系への影響を低減するため、減農薬や生物農薬を使用する動きが広がっています。

この流れに対応するため、当社グループは生物農薬の研究開発と拡販、スマート農業への展開に向けた体制強化などに取り組んでいます。

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また国内では、農林水産省が策定する「みどりの食料システム戦略」に沿って、低リスク農薬の探索、生物農薬やバイオスティミュラントの開発、IPM(総合的害虫管理)の拡大、ICTを活用したドローン散布などに注力しています。