知的財産投資方針

知的財産への投資方針

日本曹達グループは、特許権・商標権(ブランド)等に限らず、技術ノウハウ・営業情報などを含む広義の知的財産を、事業継続力と競争力の源泉であると捉え、適切に保護します。

基本的姿勢

  • 研究開発の成果である発明を積極的に権利化し、研究開発品・新製品を保護します。
  • 特許権・商標権(ブランド)・技術ノウハウ・営業情報等の知的財産の維持管理を徹底し、既存製品の競争力を維持します。
  • 第三者の知的財産権を尊重します。

知的財産投資

日本曹達グループは、長期ビジョン「かがくで、かがやく。2030」を達成するため、新製品の開発および新規事業の創出に取り組んでいます。新製品を上市してシェアを拡大するため、また、新規分野に参入するためには、良質の知的財産権*1が必須であると考えており、研究開発の成果である発明を積極的に特許出願して知的財産ポートフォリオを構築しています。2022年7月時点で、当社は特許権および出願を国内外で2,697件(単体)保有し、研究開発品および既存製品を保護しています(図1)。

化学品関連の特許: 1,183件 農業化学品関連の特許: 1,477件
図1

  • *1 当社が保有する特許権の「質」についての考え方は「ESGデータ集」にて開示しています。

化学品事業への知的財産投資

当社は、国内外で化学品事業関連の特許を1,183件保有しています。その内訳は、医薬品事業15%、機能性化学品事業33%、環境化学品事業13%、その他事業・研究開発品に関する特許が39%です(図2)。各事業の研究開発品について特許ポートフォリオを構築し、新製品開発に挑戦しています。また、既存製品については、製造方法の改良や新規用途展開等を行い、製品競争力を維持しています。

図2

農業化学品事業への知的財産投資

当社は、国内外で農薬関連の特許を1,477件(2022年7月時点)保有しています。その内訳は、殺菌剤関連特許48%、殺虫・殺ダニ剤関連特許42%、除草剤関連特許6%、および、その他特許4%です(図3)。これらの特許により、既存製品および開発品を保護しています。近年の研究開発の成果として、2017年に新規殺菌剤「ピシロック」、2020年に新規殺ダニ剤「ダニオーテ」、さらに2021年には新規殺菌剤「ミギワ」の国内販売を開始しました。今後は、これら新規3製品の海外展開を進めていきます。また、その他の既存製品についても、農薬混合剤の開発や適用作物の拡大を進めるなど、農薬の新たな製品価値を創出しています。現在当社は、農薬開発品について充実したパイプラインを保有しており、今後も食糧生産に貢献する農薬製品を生み出していきます。

図3

当社製品群の特徴

1920年の設立以来、当社は継続的に新製品を創出してきました。その結果、現在の当社製品群は、幅広い製品年齢*2で構成されています(図4)。一般的には、製品年齢が20年を超えた製品については、特許権による保護が徐々に低下*3していきます。そのため、知的財産戦略に基づき、技術ノウハウを管理し、また、技術を多面的にとらえて、改良技術に関する新たな特許権を生み出す等の施策を実施しています。その他、ロングセラー製品の競争力を維持するために、ブランド力を強化しています。また、技術ノウハウを承継するための人材育成をおこなっています。今後も新製品とロングセラー製品から、安定したキャッシュの創出を見込んでいます。

図4

  • *2 製品年齢は製品が上市された年からの経過年数とし、複数の銘柄がある製品は最初の銘柄が上市された年を初年度として算出しています。
  • *3 特許権は、原則、特許出願日から20年で満了します。一部の分野では最大5年の延長制度が設けられています。

新規分野への知的財産投資

既存分野への知的財産投資に加えて、今後は、新たな研究技術戦略において設定した3つの研究ドメイン「食料(フードテック)」、「医療(人・動物のヘルスケア)」、「先端材料(次世代ICT材料・カーボンニュートラル)」について、知的財産投資を強化していきます。当社は、これら3つの研究ドメインの中から、新規事業創出を目指しています。新規事業の戦略を考える際には、市場情報や知的財産情報など様々な情報を総合的に検討する必要があります。当社知的財産部門にはIPランドスケープを担当するチームを設置しており、知的財産情報の分析等を通じて新規事業創出活動を支援しています。

知的財産投資の監督

当社知的財産部門では、知的財産投資の進捗を見える化することを目的とした知的財産投資レポート*4を定期的に作成しています。当該レポートや各種会議を通じて、経営層への報告をおこなっています。

  • *4 当社内資料(非公開)。

概要図